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トピックス・行政救済判決相次ぐ!

オンブズパーソン VOL.53

■発行日/2007.6.2 ホームページアドレス www.ombuds.gr.jp 例会開催 毎偶数月第1日曜日午後

●編集・発行/市民オンブズ富山 〒930-0074富山市堀端町1番12号富山中央法律事務所

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                        ト ピ ッ ク ス

行政救済判決相次ぐ!
中沖知事退職金返還
   住民訴訟控訴棄却

3月26日名古屋高等裁判所金沢支部は、市民オンブズ小矢部会員が提起していた中沖知事退職金返還住民訴訟について控訴棄却の判決を行いました。
 この結果は、それまでの裁判官の訴訟式で予測されていたものでした。控訴審第1回期日で,我々が,全国の他の知事や富山県の以前の知事の退職金の額と比べても変わらないとする県側の主張に対して,他の自治体や以前の知事の時代の財政悪化の状況が考慮されていないので意味がない,中沖知事は財政を極端に県財政を悪化させた,と主張した書面を出したのに,裁判所は県側に反論を命じないで,そのまま結審したからです。
 内容の面でこの判決は、一審判決以上に杜撰な、始めに行政側勝訴の結論ありき、その結論に合わせた理屈を考える、という救済判決の典型です。
 これに対し4月9日市民オンブズ小矢部は上告・上告受理申立を行い、4月19日富山駅前での宣伝行動と、当市民オンブズ富山後援でサンシップ富山で報告集会を開催しました。
 この判決の要点と問題点については、次頁の本文で報告します。

  石油類違法随意契約購入 
住民訴訟不当判決 ! 
 こんな救済判決でいい?

 旧八尾町、滑川市、富山市が石油類を、法律で随意契約によることが認められている例外にあたらないのに競争入札しないで購入し、競争入札で購入している県立高校と比べ数割高の代金を支払っていた問題の住民訴訟で、さる5月30日富山地裁は、全ての事件で原告住民の請求を棄却する判決を行いました。
 判決は、各自治体が随意契約による最大の根拠とした「石油の安定供給」は、元売り会社の供給証明を提出した業者に競争入札をさせる方法でも確保できるとして、原告住民の主張を認めまたものの、中小業者保護、価格の有利性の点で自治体の裁量権の濫用、逸脱は認められない、として随意契約を適法としました。
 後記解説で検討するとおり、この判決も、論理破綻が明らかで、最高裁判例の基準からも逸脱しています。上海便控訴審判決と同様に、始めに行政側勝訴の結論ありき、その結論に合わせた理屈を考える行政救済判決です。

 裁判所にいつまでもこんな杜撰な行政救済をさせていてはいけません。
 行政裁判にも陪審制を導入し裁判所の改革を求めなければならないのではないでしょうか?

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by ombudst02 | 2007-06-03 20:05 | オンブズパーソン53号

前知事退職金返還訴訟報告会

  前知事退職金
    返還訴訟報告会
 
 トピックでお伝えしたとおり、4月19日市民オンブズ小矢部主催、当市民オンブズ富山後援で報告会が開催されました。
 会員の美谷さんが「スミヤキスト通信ブログ」で紹介しています。大変参考になるので、下記に引用させて頂きます。美谷さんのブログアドレスは、
    http://sumiyakist.exblog.jp/i2

 昨4月19日夜、富山市内で「前知事退職金返還訴訟報告会」を開いた。PRに十分な力を割けなかったこともあって、参加者は20人程度と、やや寂しい感もあったが、48ページの詳しい資料も作って、準備にはかなり手間をかけた。
 私の経過報告、石山氏の実感的オンブズ裁判報告、青島弁護士の論点解説と晴山意見書の説明などを話した後、参加者と話し合いを行った。(写真上は報告をする石山氏、下は資料→略)。
 時系列に沿って全体を通観することで、参加者には問題点をよく理解してもらったようであるし、われわれも頭を整理するいい機会であった。
 最高裁でどういう判断が出されるのか(つまり、いったい、われわれに勝機があるのかどうか)ということが参加者の質問の一つの焦点であった。
 この点について青島弁護士は次のように話した。
 「最初から、われわれが勝つ可能性があるとすれば最高裁においてであろうということは原告やオンブズのみなさんにもそう言ってきた。つまり、現在の地裁や高裁は非常に行政に迎合的であって、まともな議論ができない。かつて市民オンブズ富山で、やはり住民監査請求から裁判に入っていった上水道談合訴訟においても、誰が見ても正当な、まったく教科書的な訴訟を提起したにもかかわらず、一審二審においては全く認めようとしなかった。しかし、最高裁では勝った。さすがに最高裁では、あまりにひどい判決を出すと国民の司法に対する信頼が損なわれるので、世間に知られたら困るようなひどいもの(下級審の判決)は直さざるを得ない。で、この知事退職金の問題がそれにあたるかどうかは、そのギリギリのところにあるように思う。学者が論文を書いたり学会で注目されたり、あるいは市民が関心をもって見つめていたりしていると、こっそり判決を書いて済ませてしまうわけにいかなくなるので、今後の運動の進め方も大切だとおもう。」
 さて、当日の資料の付録に富山空港ターミナルビル(株)のHPの1ページを載せておいた。
 下の方の常勤役員のところをご覧いただきたい。中沖豊氏がいまも代表取締役会長・社長を務めている。報酬もしっかり貰っているようだ。そもそもこの役職は、各種の財団理事長とか公的組合のトップなどと同じように、富山県知事のいわゆる「宛て職」のようなもので、氏が知事在職中は無給で務めていたという。ということからすると、知事を退職したならこれも辞任して後任の知事に替わるべきものだと思うが、この椅子だけ(他にもあるとの未確認情報もあるが)はしっかり確保して、ちゃっかり報酬も取っているというのは、いささか未練がましい、「美しくない」行為だと思うがどうだろう。

 解説 控訴審判決の問題点 

 トピックスで指摘のとおり,控訴審判決は行政救済のためになんとか理屈付けをした,苦心の作ですが,無理を重ねているため,一見もっともらしいのですが,よく考えると非論理的で,素人が読んでも恥ずかしくなるくらいの判決です。このような判決を通用させていてよいものか。少し長くなりますが,皆さん読んでみて下さい。
1 条例と議会の議決では相違がない?
 まず,判決は,富山県条例でも額の決定方法が明示されており,条例で定める場合と比べても,議決方法には相違がないから両者が実質的には等しいとします。そして,議員は住民の代表者であるから民主的なコントロールのもとで決定しているものといえるので,条例による方,「より民主的なコントロール」とまではいいきれないとします。
 しかし,住民が直接条例改廃を請求できることが法的に保障されている場合と認められない場合では住民の地方自治に対する影響力という点で決定的な差違があります。直接民主制と間接民主制の両制度を取り入れている地方自治法の解釈において無視することは許されません。また,そもそも,異なる制度である直接民主制と間接民主制を比べて「より民主的」であるか否かを論ずることは非論理的です。
 なお,判決は,条例でなく議決で定めるとする本件条例自体に対して改廃請求を行うことが可能であったから,条例改廃請求権の行使を重視しても原告住民の主張には理由がないとしています。しかし,本件条例に対する改廃請求の可否の問題と,特定の退職金額を定めた議決に対する変更の可否とは全く別問題,無関係で,原判決のこの判断は非論理的でさえあります。
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by ombudst02 | 2007-06-03 20:04 | オンブズパーソン53号

解説 控訴審判決の問題点 つづき

 なお,判決は,条例でなく議決で定めるとする本件条例自体に対して改廃請求を行うことが可能であったから,条例改廃請求権の行使を重視しても原告住民の主張には理由がないとしています。しかし,本件条例に対する改廃請求の可否の問題と,特定の退職金額を定めた議決に対する変更の可否とは全く別問題,無関係で,原判決のこの判断は非論理的でさえあります。
2 選挙による変更の可否について
 判決は,選挙の争点化による内容修正の可能性についての差違について,個々の退職手当の支給ごとに金額を議会で議決する場合が,予め条例で定められた金額が自動的に支給される場合に比べ,より住民の関心を惹きやすい面があるので問題にならないとしています。しかし,住民が関心をもつのは退職金額の多寡,業績や世間相場との比較における金額の相当性です。定め方に関心を持つかどうかは決定方法の違いとは関係ありません。
 そして判決は,議会で議決する場合でも金額が不当であれば,住民が議員に働きかけたり,あるいは事後の議員選挙においてその点が争点となる可能性もあるから,条例による場合に比較して,住民のコントロールの観点から直ちに劣るものと断定することはできないとしています。しかし,条例改廃請求権の対象であれば法定の条件を備えれば当該条例が改廃される保障があるのに対して,議員への働きかけは単なる要請に過ぎず内容が変更される保障は全くなく,事後の議員選挙における争点化に及んでは,後の祭り,支給後であれば無意味です。住民によるコントロールの観点から格段の差が認められ,判決の判断は不合理です。
3 議会と執行機関との抑制・均衡の点について
 判決は,議会が議決によって額を定める場合と,条例で定める場合とを比較しても,前者が後者に比して,議会の権限が過大となり,知事と議会との抑制・均衡関係が崩れるとまでいうことはできないとしています。この判断には全く根拠,理由が示されていません。
 しかし,長野県の田中知事の退任時の例のように,議会と知事が対立しているような場合,現実に知事の職務に影響を与えることは明らかです。
 次に,判決は,今回は他府県や前任者の例など各種条件を考慮して金額が定められたから,知事と議会との抑制・均衡関係を崩すことになるとまでいうことはできないとした判断しています。
 この点が今回の判決の一番おかしなところです。実際には知事が退職した後に各種条件が考慮されて退職金額が決定されています。知事が退職するまでの間は,このような検討が行われていません。したがって,退職時まで退職金がどうなるかわからなかったわけで,知事の立場を弱体化しないとする根拠にはなり得ません。原判決の判断は,時間の先後関係を無視した非論理的な判断です。
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by ombudst02 | 2007-06-03 20:03 | オンブズパーソン53号

石油類随意契約住民訴訟・富山地裁判決について

  石油類随意契約住民訴訟  
   富山地裁判決について
  
 トピック記載の通り、富山地裁は石油類違法随意契約住民訴訟で原告住民の請求を棄却する判決を行いました。
1 争点に対する判決の判断要旨は次の通りです。
(1) 単価契約は住民訴訟の対象になる契約か?

 当然のことと思われますが、滑川市は一定期間の購入契約の単価を決めているので単価契約は住民訴訟の対象となる購入契約ではない、それぞれの購入契約は80万円以下だから随意契約による必要はない。 と主張しましたが、判決は地方自治法の随意契約規制の趣旨から単価契約も該当性を認めました。
(2) 灯油の安定供給の必要性
 判決は、入札参加者に元売り会社の供給証明書を要求することによって、入札でも石油類の安定供給を図ることができる、として、この点で随意契約によることが必要であるとの自治体の契約担当者の判断に合理性は認められない、としました。
(3) 中小企業の受注機会の確保について
 判決は、官公需適格組合である富山県石油業協同組合から灯油を購入するとの判断は、官公需法の趣旨にそったもので合理性が認められるとし、取引相手の中に組合員以外の者が入っているから入札参加者を中小企業者絞って入札を実施した方がより法の趣旨にかなうとした原告住民の主張に対しては、組合員以外との取引額が多くないから、自治体の契約担当者の裁量権の濫用・逸脱はないとしました。
(4) 購入価額が高額である点について
 判決は、モニター価格や全国・近県・県内に卸売価格を調査して価格決定が行われたから、自治体の契約担当者の裁量権の濫用・逸脱はないとしました。そして、県立高校との価格の差については、購入量等に違いがあるから単純に比較出来ないとしました。
(5) 著しい変動がないのに値上げした点について
 判決は、契約で「市場価格に著しい変動があった場合に、協議で、価格変更ができる」とされているのに1~2割の変動で価格を上げたことについて、契約の規定は「市場価格の変動に応じて、随時適正な購入価格を設定することを目的としたものというべきである」とし、この程度の変動も「著しい変動があった場合」に該当しないとまではいえない、としました。
2 判決の特徴
 この判決がよってたっているのは,組合との随意契約は中小企業の受注機会の確保という行政目的が肯定され,その目的達成のためにどのようにして契約を結ぶかは契約担当者の裁量だということです。
 しかし,中小企業の受注機会の確保のためには,組合員以外を排除したものを対象に入札をすれば足ります。随意契約による必要は全くありません。まして,組合員以外が参加している団体と随意契約をすることには,この行政目的達成の観点で全く合理性がありません。少数だから目的は損なわれないという問題ではありません。より合理的な方法があると言うことです。
 また,行政の主張は,中小企業の受注機会の確保という行政目的という一点で肯定し,住民の主張は一つ一つについて検討して,それぞれ一つ一つでは,裁量権の濫用・逸脱とは言えないという判断方法も常軌を逸した方法です。
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by ombudst02 | 2007-06-03 20:02 | オンブズパーソン53号

活動日誌・投稿・今後の予定・新しい情報発信

  活 動 日 誌
3月
 25 オンブズパーソン52号発行
 26 知事退職金返還裁判控訴審判決・控訴棄却
4月
  8 例会
  9 知事退職金返還裁判上告・上告受理申立
  9~ NPO広報パワーアップセミナー参加
 19 知事退職金返還裁判・報告会

5月
 30 石油類住訴、八尾・滑川市・富山市判決


ウーン、行政に疑問                     

07年1月16日 電話で 匿名氏
 新しい大和の用地には地権者がおり、賃貸する。ある地権者は市長の親友。ある地権者の兄弟は再開発事業のコンサルタント。市電は大和近くを通ることになっているが、中央通りは置き去り状態。多額の税金を使いむだなことをしているのではないか。

07年3月26日 電話で 匿名氏 学校の体育館の新築についての寄付要請があった。私の町内では町内会費から出した。集まりはあったものの、少しの人しか参加しておらず、委任状の提出などもなかった。問題では?教育委員会に言ってもいいものか?
 → 町内の問題で、総会などで問題にするしかないのでは。教育委員会に言うことについては問題ありません。積極的に問題提起すべきでしょう。

07年5月    面談で 匿名氏
 呉羽中学が改築されているが、学校に隣接する市の幹部の土地が最近市に購入された模様。
 もちろん中学校にとっては土地は広ければ広いほどよいに違いないし、価格もおそらく適正な計算をしているのだろうが、地方財政危機と言われ、富山市の財政も緊急事態と言われているこの時に、絶対必要とは言えない関係者の土地を購入するのはいかがなものか。
 → 公務員の意識・モラルの問題として考えるべきでしょうが、財政危機は他人事なんでしょうか。

  =今後の予定=
6月 6日(水)10時~    富山地裁
  上海便事業高額宿泊費住民訴訟第1回期日
6月18日(月)19時~    運営委員会
  富山中央法律事務所
6月20日(水)19時~  小矢部市コミュニティーセンター
  知事退職金問題報告集会(乞多数参加)
7月17日(火=変則)19時~ 運営委員会 
  富山中央法律事務所
9月15日(土)13時~16日(日)0時
  山形市ビッグウィング  全国大会
  メインテーマ「政務調査費」
  
  新しい情報発信!!
 運営委員・理事の松永さんが、当オンブズのために、下記の ブログを立ち上げてくださいました。①は例会等の案内用、②は監査請求・裁判の経過・資料の閲覧用です。各位ご利用下さい。また、③は松永さん自身が取り組んでおられる活動の紹介です。
①オンブズ富山こうほう日誌(会議開催案内、活動、など連絡について双方向アクセツが可能)
    アドレス : http://ombudst01.exblog.jp/
②オンブズ富山こうほう監査請求・係争(旧八尾町、滑川市、富山市に対する灯油訴訟の経緯と判決文を検証)
    アドレス : http://ombudst03.exblog.jp/
③ 富山県情報公開日誌(富山県随意契約などの情報公開進捗レポート)
    アドレス : http://blogs.yahoo.co.jp/sadao_ybb
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by ombudst02 | 2007-06-03 20:01 | オンブズパーソン53号