石油類随意契約住民訴訟・富山地裁判決について

  石油類随意契約住民訴訟  
   富山地裁判決について
  
 トピック記載の通り、富山地裁は石油類違法随意契約住民訴訟で原告住民の請求を棄却する判決を行いました。
1 争点に対する判決の判断要旨は次の通りです。
(1) 単価契約は住民訴訟の対象になる契約か?

 当然のことと思われますが、滑川市は一定期間の購入契約の単価を決めているので単価契約は住民訴訟の対象となる購入契約ではない、それぞれの購入契約は80万円以下だから随意契約による必要はない。 と主張しましたが、判決は地方自治法の随意契約規制の趣旨から単価契約も該当性を認めました。
(2) 灯油の安定供給の必要性
 判決は、入札参加者に元売り会社の供給証明書を要求することによって、入札でも石油類の安定供給を図ることができる、として、この点で随意契約によることが必要であるとの自治体の契約担当者の判断に合理性は認められない、としました。
(3) 中小企業の受注機会の確保について
 判決は、官公需適格組合である富山県石油業協同組合から灯油を購入するとの判断は、官公需法の趣旨にそったもので合理性が認められるとし、取引相手の中に組合員以外の者が入っているから入札参加者を中小企業者絞って入札を実施した方がより法の趣旨にかなうとした原告住民の主張に対しては、組合員以外との取引額が多くないから、自治体の契約担当者の裁量権の濫用・逸脱はないとしました。
(4) 購入価額が高額である点について
 判決は、モニター価格や全国・近県・県内に卸売価格を調査して価格決定が行われたから、自治体の契約担当者の裁量権の濫用・逸脱はないとしました。そして、県立高校との価格の差については、購入量等に違いがあるから単純に比較出来ないとしました。
(5) 著しい変動がないのに値上げした点について
 判決は、契約で「市場価格に著しい変動があった場合に、協議で、価格変更ができる」とされているのに1~2割の変動で価格を上げたことについて、契約の規定は「市場価格の変動に応じて、随時適正な購入価格を設定することを目的としたものというべきである」とし、この程度の変動も「著しい変動があった場合」に該当しないとまではいえない、としました。
2 判決の特徴
 この判決がよってたっているのは,組合との随意契約は中小企業の受注機会の確保という行政目的が肯定され,その目的達成のためにどのようにして契約を結ぶかは契約担当者の裁量だということです。
 しかし,中小企業の受注機会の確保のためには,組合員以外を排除したものを対象に入札をすれば足ります。随意契約による必要は全くありません。まして,組合員以外が参加している団体と随意契約をすることには,この行政目的達成の観点で全く合理性がありません。少数だから目的は損なわれないという問題ではありません。より合理的な方法があると言うことです。
 また,行政の主張は,中小企業の受注機会の確保という行政目的という一点で肯定し,住民の主張は一つ一つについて検討して,それぞれ一つ一つでは,裁量権の濫用・逸脱とは言えないという判断方法も常軌を逸した方法です。
[PR]
by ombudst02 | 2007-06-03 20:02 | オンブズパーソン53号
<< 解説 控訴審判決の問題点 つづき 活動日誌・投稿・今後の予定・新... >>